現在所持しているSA2200というYAMAHAのセミアコについて。
国産ならではの丁寧な作りといい意味で、個性がありすぎない使いやすいギターです。
流通が少ないのか楽器屋さんで見かけることもあまりないので、使用感を書いてみます。
いままでソリッド系しか使ったことがない人が初めて箱モノを触ると、その違いにびっくりするかもしれません。
セミアコを初めて買おうとしている方や、SA2200に興味がある方の参考になれば幸いです。最初にお伝えしますがSA2200は最高です。セミアコで迷っているなら買いましょう。
YAMAHAのセミアコ
セミアコといえばおすすめされるのはGibsonESシリーズやIbanez、TOKAI、最近だとHeritage、SeventySevenあたりのメーカーもよく聞きますね。そのなかでYAMAHAって聞いたことない、というかエレキであるの?という方も多いと思います。
アコギなら結構使用者見るんですけどね…SGもたまーに見ます。
現在YAMAHAからは2種類のセミアコが販売されています。
SA2200とSAS1500というセミアコ2機種。
このSA2200とSAS1500の違いは材の違いもありますが、何より大きさが違います。
335コピーモデルってだいたい同じ大きさなんですが、SASの方は並べるとびっくりするぐらい小さい。
しかも音も結構な箱モノ感があるので、取り回しがかなり大事で楽に動かしたい、でも箱モノがほしいと言う方にはおすすめです。
小さめで色々調べるとフルアコにはなりますが、Ibanezのベンソンモデル等も候補に上ると思うので、比較される際はどうぞ。
George Benson Signature Hollow Bodies | Ibanez guitars
SA2200について
前置きが長くなりましたが、SA2200について書いていきます。
スペック~仕様
主な仕様
・ボディ アーチド・メイプル+シカモア(トップ&バック)、
バーチ+シカモア(サイド)、メイプル+スプルース(センターブロック)
・ボディ/ネック構造 セットインネック
・ネック マホガニー
・指板 エボニー
・指板アール 350R
・フレット数 22
・ブリッジ TSG-1G
・ペグ ゴールド
・スケール 628mm
・ピックアップ ”SAH-SAIIG(アルニコV)” x 2
・コントロール フロント及びリア・ボリューム、フロント及びリア・トーン(バイサウンド・スイッチ)・ピックアップスイッチ 3P セレクタースイッチ
※上記YAMAHA HPより
このスペックを見て、なるほど!こういうスペックか!買おう!
なんて人はよほど知識があってYAMAHAに絶大な信頼を寄せる人でないと、この考えに至らないと思います。
ボディ・使いやすさ
裏はこんな感じ、綺麗な杢目
335タイプと比べるとカッタウェイがやや削られてて、ハイポジションは弾きやすいかも。ボディのクビレより下もすこし小さいように感じます。
抱えた時にそこまで邪魔にならないボディサイズ。ストラップピンも大きめのものなので、わざわざロックピンを新調しなくてもいいです。
ヘッド部分 とっても綺麗なインレイ
Gibsonと比べると少し大きい?演奏上の影響はとくになし。
ペグもかなり回しやすく、小さい力で調整できます。
ブリッジまわり
ブリッジはよくあるストップテールピース。金ピカでとてもゴージャスです。
レスポールとかでも見られるタイプですが、ストラト等のシンクロしたタイプしか使ったことがない人はテールピースが外れると知らないかもなので、弦替時の紛失には気をつけたい。
ネック
こちらも演奏する上では大事です。
SA2200はギブソンのよくあるスケールの、ミディアムスケールサイズとなっています。
とにかく握りやすいフィットするサイズ。手が普通の男性より小さい私ですがストレスなく握り込めます。女性にもおすすめ。
指板
エボニー指板でレスポンスは良くES335より好み。親指で6弦押さえる人でもストレスはないはず。
気持ち指板は横幅が大きく、複雑なコードとかも押さえやすかったりします。ローポジションがとても弾きやすく、音も流れるように出しやすい。
ハイポジションの方でも指がばたつきにくいというか、フレットの間隔がいい感じで狙った音を出しやすいと感じます。速弾きにも使えます。
音色
音について
一番大事な音色の部分です。メイプルがトップ・バックに使われており、音がはっきりしているような鳴り。
単音では低い音から高い音までガーっと弾いても耳に馴染むような、均衡がよく聞こえます。
すぐに音が付いてくるような立ち上がりで、単音ならゆっくり弾いても、遅く弾いても違和感なし。
歪ませても抜けが良く、こもった感じがしにくいです。
スウィープとかのあまり音が上下する速弾きにもには向いていないかも。
コードも一つ一つの音がバランス良く綺麗になります。
6本の弦を全部弾くとどこかの音がヘタったりすることもないですが、箱モノの宿命か若干音が埋もれることはあります。
ハイポジコードの弾いても優しく聞こえるのは良し。オクターブひいてもしっかりあのオクターブの音が出ます。
ドライブをかければ力強い、バンドの中でも目立つようなサウンドになります。
ピックアップ
搭載されているピックアップSAH-SAIIG(アルニコV)も勿論オリジナル。
なかなかパワーがあり、きらびやかな音が出ています。
後述するバイサウンドスイッチにより、ジャズトーンから、ドライブ、クランチ等の様々な音がしっかり出ます。
わかりやすく様々な音を上げているギタリストがいたので貼っておきます。
この人色んなギターの動画あげてるけどだいたいブルースっぽくなってるよね
バイサウンドスイッチ(コイルタップ)
ハムバッカーの、半分しか使わないようにする切り替えスイッチ。コイルタップと呼ばれることが多いあれです。
こんな感じ 上記HPから
とにかく多彩な音色が出せますよといったシステム。最初はあっても使わなさそうだなと思っていましたが、最初は触っていて1日が終わったりします。
この手前の二つのノブを引っ張るとシングルに、押すとハムになります
箱モノだといくらリアにしてもどうしても、細い金属チックな音が出せずどこか丸い音が出るのですが、リアのタップスイッチオンの音の歯切れのよさは格別でカッティングや、じゃかじゃかアコギっぽく鳴らしたい時に使えます。
完全にソリッドの音を出すことは出来ませんが、箱の音を出せて、幅広いジャンルの音を一本で出せるのはとても優秀。
使用アーティストから見る音色サンプル
使用アーティストは海外に割りといるみたいですがその中から音色のサンプルとなりそうな方をピックアップしました。
歪ませたトーン
ギターアイドルのJack ThammaratもSA2200を使用。
綺麗に歪みます。アタックの音にちゃんと箱感もあります。
クリーンなジャズサウンド
Biréli Lagreneです。彼は結構ソリッドとかセミアコも使いますよね。
伴奏も聞けるので分かりやすいです。ちゃんとパリッとしていますね。
ソリッドから持ち替えたとき
使用感
まずボディ自体が大きいので、動き回ったり派手なアクションする方にはやや不便です。
その分動きにくいという安定感があるのでギターの位置が高かったり、座ってる時のように弾きたいなら弾きやすいと思います。
そしてブリッジの部分が結構ネック側に寄せられています。
特にフェンダー系から持ち替えると、右手の位置がかわり慣れるまでは窮屈にピッキングしているように感じます。右手のミュート位置が変わるためここも慣れが必要。
右手の位置によりカッティングが綺麗に出来ないという人もいます(私です)。
普通のカッティングならいいですが16分だったりの高速カッティングを入れようとすると、弦の横の間隔も広いため大きな動作となり思うように刻めなくなります。
ので激しいアップテンポファンクは少しやりにくいかも。
音
セミホロウボディなので生音が結構出ます。
音の大きさは、アコギ>Godin>フルアコ>セミアコ>ソリッド系な感じです。セミアコと言えど音の増幅はあるので、壁が薄いなら夜に演奏するのは非推奨です。
低音が強調されるので、EQは最初のうちはLOWを下げて演奏するとバランス良く聞こえるかもです。
ハウリング
よくセミアコはハウリングしやすいから、歪ませたりするのには向かないと聞くこともあります。
確かに普通のソリッド等の空洞がないギターに比べ、ハウリングし易いのは確かです。とはいえセンターブロックがしっかりと役割を果たしてくれるので、よっぽど(ごりごりメタル)とかでも無い限りはそこまで心配はいりません。
アンプとの立ち位置等ではハウったりするので、場所も大事です。
fホールをスポンジか何かで塞いだりする方法もありますが、案外面倒だったりする上にめちゃくちゃ効果があるわけでもないです。
良さを消してしまうという意見もあります。おとなしく歪を落とすか、設定を調整しましょう。
まとめ
SA2200は国産らしく大変仕上がりの良いセミアコです。
部品も確かオリジナルなので完全な日本のメーカーが作ったギター。
現代チックな、都会っぽいジャズギターの音が簡単に出せるような弾き手を選ばない良さがあります。上手い人が弾いても更にいい音がします。
音だけでなくプレイアビリティ的にも優秀で、ここまで違和感なく手に添わせられるギターもなかなかないと思います。
Gibson等は個体差があったり、探す手間や自分の気に入った音を探すのに骨が折れますが、SA2200はセミアコな音がしっかり出ますしハズレがないというのもかなりメリットなのではないでしょうか。
ただ335と方向性が違うように感じます。
当たり前ですがヴィンテージサウンドは出せません。
低音が少し弱くウォームな、渋い温かい骨太トーンが好きな方にはやや物足りないかも。ソリッド系のハイエンドでよくあるように、個性が少なめで、使い手次第で望む音が出せる優等生なタイプだと個人的には思っています。
癖のないギターでじゃじゃ馬感はないですが、素のままで音を出してくれるような。
それとなかなか店頭にないので試奏は難しいかもしれません。
私もたまたま出先で触れたぐらいで、探してもなかなかありませんでした。
見つけることが出来たら即試奏しましょう。
ネットで買うのも国産ギターならではの安心感があるので、悩んでいる方は一度検討してみてください。
他のメーカーのセミアコ
セミアコを購入するなら様々なメーカーから、気に入った一本を選ぶのが良いと思います。以下に有名なメーカーのリンクを置いておきます。
私も少しは色々なメーカーを弾きましたが殆ど覚えていないので、詳しくお伝えできません。実際に楽器屋さん等で触ってみることをおすすめします。
ES-335-Gibson
Hollow Bodies | Ibanez guitars
SeventySevenトップページ | 株式会社ディバイザー
http://www.ariaguitars.com/jp/items/other-brands/heritage/ -Heritage
D'Angelico Archtop Guitars | D'Angelico Guitars
VINTAGE TOP-Tokai