ジャズのスタンダードの中に「Take Five」というスタンダード曲があります。名前の通り5拍の奇数拍、つまり変拍子なのですがそれを感じさせない聞きやすさのある曲なんです。
一度はどこかで聞いたことがあるかも。今回は変拍子初心者が楽しめそうな、「Take Five」のカバーをいくつか紹介していきます。一通り聞き終わると5拍の気持ちよさに脳がOK信号を出すようになります。
- Dave Brubeck
- George Benson
- Al Jarreau
- Jazzkantine
- New York Ska Jazz Ensemble
- Tito Puente
- MICHEL CAMILO
- Aziza Mustafa Zadeh
- Will Boulware
- Farmers Market
- おわり
Dave Brubeck
オリジナル
初代です。Paul Desmond作曲。サックス・ピアノ・ベース・ドラムの編成。
ツアーで海外を回っているとき、ブルガリアの音楽が変拍子であり、それを聞いた彼らが変拍子を取り入れこの曲が生まれたそうです。
いかにも系なジャズなのですが、ジャズを聞き慣れていない人でもメインテーマのメロディは聞きやすいと思います。
伴奏のピアノのフレーズもかなり耳に残るような作りで、タラッタラッタッラが頭のなかで延々とループするようになってTake Five信者の仲間入り。変拍子とか深いことを考えなくても、いい曲は自然とからだに染み渡っていくものです。
George Benson
ポッピーなギターカバー
最近はあまりギターを弾いてくれないジョージ・ベンソンのカバー。サックスは渡辺貞夫の。高校生の時にこの動画をみてジャズギターを始めるに至った思い出の曲。
原曲に比べてかなりポップな感じにアレンジされています。ギターのまろやかなのにパリッとした感じが、リズムを弾ませる。途中からかなり盛り上がる展開になるので、ギタリストには是非見て欲しいカバーです。
Al Jarreau
声でカバー
アル・ジャロウ!最近逝去されてしまいましたが、この歌い方は唯一無二です。
彼独特の歌い方がとっても癖になります。歌詞は良くわかりませんが、「パウンド~」みたいなところは何回も再生したくなる中毒フレーズ。後半のスキャットは5拍のリズムを駆け巡る胸熱の展開。やはり声の可能性は無限大。パウンドされてぇ~なアレンジ。
Jazzkantine
後ノリできるファンキーカバー
この曲は4拍子です。いいですか?4拍子です。
彼らのWikiはドイツ語のみなのでよく知らないバンド。でもナイスカバーなので紹介。
ファンクの乗りやすいリズムにアレンジすると偶数拍になってしまうのだろうか…
この曲なら変拍子初心者でも入りやすいと思います。だって変拍子じゃないもの。
聞いてると体が上下してくるアレンジです。
New York Ska Jazz Ensemble
ラジカセ持って聞きたいスカ系レゲエ風カバー
スカバンドで有名なバンドのカバー。スカは普段全く聞かないのですがこのカバーは何回も聞いてしまいます。
バックの演奏は一定のリズムでレゲエっぽい感じで続くのですが、そこにTake Fiveのメロディを組み込んでゆらゆらする曲。楽器それぞれで得意なジャンルが違いそうなことがわかるソロも面白いですね。アフロになってラジカセもって揺れながら、街を歩いてみたい曲。
Tito Puente
ラテンカバー
ラテンの王のカバーです。ラテン色濃いアレンジです。陽気でイケてるおじさんが出てきそうな雰囲気。連続で5拍じゃないカバーが続いていますが、Take Fiveはどんなジャンルにも合うということが伝わっただろうか。
陽気なカバーが続いたので次からジャズ色が濃くなります(個性も)。
MICHEL CAMILO
ピアノソロカバー
カミロ先生登場。さっきのラテン繋がりでラテンジャズ系のピアニストをもってきましたが、原曲に忠実で丁寧に弾いてるカバーなので聞きやすい。勿論カミロ先生なので盛り上がるところは情熱的に盛り上げてくれます。伴奏も一定なのでこれぞTake Five!といった感じ。
Aziza Mustafa Zadeh
ピアノスキャット遠い国から香るカバー
途中でクラシックが入るカバー。
アジザ・ムスタファ・ザデさんです。ジャズピアニスト界で有名な方ですが、日本ではあまり馴染みないような気もします。出身はアゼルバイジャンという、聞いたことねーよな国なので仕方ない。
ジャズなのにところどこ異国感あふれるピアノで、思いつかないようなアレンジがされています。というか途中から別の曲のフレーズが組み込まれたりと、聞いてて面白い曲です。
Will Boulware
都会派ジャズカバー
昔ベーシストのリチャード・ボナの曲をあさっている時に発見したカバー。
都会のジャズって雰囲気です。とにかくベースがかっこいい…ボナがスタンダード演奏しているのはあまり聞いたことなかったので新鮮。
昔の曲を今のミュージシャンがアレンジしたらこうなる、っという感じでかなり今風。
Farmers Market
問答無用の置いてけぼりお祭りFive
彼らは紹介して良いものか迷いました。非常に迷いました。
ワールドミュージックの棚に置いてあった彼らですが、ワールドを取り込みすぎて凄いことになっているアレンジです。5拍?アレンジして4拍?いいえ11拍です。最初の部分はTake Five感はあるのですが後半からはもう凄いことになってます。最後は完全にどこかの民族音楽に変貌しています。とにかく騒がしく、めちゃくちゃで、でも楽しくて、というバンドなのでかなりオススメのカバーです。
彼らはオリジナルが影響されたブルガリア音楽がルーツなので、それもなんだか可笑しいですね。
おわり
題名が5拍という名前とは言え、5拍で演奏しなければならない理由はないんだと気づかせてくれたカバー達でした。
ちなみにTAKE FIVEの著作権はアメリカの赤十字に寄贈されています。曲が使われれば赤十字お金が入るわけです。かっこよすぎるPaul Desmondに乾杯。