ドラム?リズムだけ頑張っとく楽器でしょ?な人に是非聞いて欲しい。
最近はどのアーティストにも引っ張りだこで重宝されまくっているサンチェス。
有名過ぎて逆に紹介しにくい。
でも一番好きなドラマーなのさ。
とりあえず叩いてるところを見よ
あびゃぁ~~うまいぃ~(失禁)
曲はPat Metheny Unity Groupのアルバム『Kin』より「Rise Up」。
空間が無限に広がっていくでござる。
Antonio Sanchez
メキシコ生まれのドラマーで、最初のドラムの音楽性としてはロック等の激しい8ビートジャンルだったようです。たしかにロックの情熱も感じたりする。
なんやかんやで今ではジャズ界の重鎮へ。
上記の動画はごついセットでシンバル等色々置いてますが、本人的にはシンプルなドラム編成が好みでスタンダードなドラムセットをよく使うそうです。
なのにあの使いこなしは異常だ…
調べたら情報がたくさん出てくると思うので来歴等はここでは詳しく記載しません。
それより彼の音楽を聞くんだ!
ドラムの音色で音を囲み、固めるようなドラマー
フィルもじゃんじゃん入れて、タムもたくさん叩いてって感じなのに音がうるさくないんですよね。そしてどこかラテン風。
しかもまあまあ強く叩いてるのに他の楽器を邪魔せずに絡み合っていく。
手数が多めのドラムなんかは主役食いしたり、逆に頭に入ってこないのにサンチェスは他の楽器と同時に頭に流れ込んできます。スネアを細かく入れておりロール気味になって音を持続させたり、全体を引っ張るように力強く叩く時もあったりと展開に合わせての使い方がずば抜けている。
乾いた音がとても印象的で、ライドシンバルもきらびやか過ぎないのにそれでいて壮大。
サンチェスお得意のクローズドリムの音・置き方は聞くだけで彼と分かるような強烈な個性があり、その度に流れてしまいそうな空間を包み確立させていると思います。
緊張感がありすぎないドラムって絶妙。
サンチェスに叩かれたいファンはたくさんいるはずである。
メロディアスなドラム
最初の動画を見た方はもうわかっていると思いますが、ドラムなのに非常にメロディアス。あまりドラム等のパーカッション楽器に注目していないと、ただリズムを刻む楽器だと思われがち。
勿論打楽器にも音程があり、ほかのドラマーも音程を考えて出しています。
とはいえ限られた音しかだせないドラムセットでここまで、要所要所の隙間にぴったりな音色選びをするドラマーごくわずかなのではないでしょうか。
インタビューでも語っていましたが、曲のコード(音楽的な流れ)に合わせてドラムの音程も変えているそう。レベルの高さが意味不明ですよね。メセニーもライナーノーツで「ドラムだけでコード感がわかる」と評していたほど、曲の流れとしてのドラムを叩きます。
バンド内のパーカッション専門(色々な打楽器使う人)が使うような、打楽器の乗せ方。
上半身だけを見ると硬そうな感じですが、手元の動きが異常。テクニックを上手く音楽性に組み込むのが一流のミュージシャン。
勿論ドラマー目線で見ても驚異的である上に、メロディ楽器演奏者から見ても楽しめるドラマーって珍しい。リズムとメロディー、楽しみ方が複数あるのが素晴らしいですね。
Twitterがいい
— Antonio Sanchez (@AntonioDrumsX) 2017年3月3日
音楽情報は勿論、クソコラをアップしたりします。
無言でアップします。
作曲もいい
とてももいい。初期のリーダーアルバムはややテクニックよりだったり、メセニー曲の雰囲気が大いにありましたがアルバムを出すにつれて研ぎ澄まされていきます。
どこか澄んだ曲調のものが多く、ドラムが前に出すぎずあくまでフォローする形であるのが好印象。
曲のよさを最大限引き出すためのアプローチを徹底しており、あくまで主役ではないのを意識している。でも出るとこは出る。神か。
サントラも作る
ドラムだけで聞かせるのがサンチェス。
短い時間でサンチェスのドラムだと分からせるのが凄い。
映画のサントラも作る
映画「バードマン」でサントラも作りました。ドラムだけで劇伴。
張りつめたドラムが聞けます。
CM(お茶)のバックでも叩く
茶がうめぇ!!
カチカチ音とバスドラの音で、お?もしや…となり、スネアとライドシンバルの組み合わせでサンチェス最高!となる。
おすすめのアルバム
出ているアルバムは全部いいので特に言及しようがないですが、聞きやすいアルバムはこの二つ。
Three Times Three
トリオ編成のバンド3組が演奏するコンセプトのアルバム。それぞれピアノ、ギター、サックスがリードします。
勿論どの組もサンチェスは固定。有名アーティストと演奏していますが、どの曲もサンチェスとすぐに分かるのに、曲のメリハリがある。彼の色は出るけど完全にサンチェスだけの音にならない不思議。
いいアルバム。
New Life
さっきも紹介した曲のアルバム。
タイトルソングのような広がりのある曲調から、現代ジャズ的なものまで楽しめます。都会的な雰囲気の曲が多く非常に聞きやすいです。
おわり
Pat Methenyの「Speaking of Now」で初めて彼を知りましたが、初めて聞いた時はビビりました。ライブじゃなくてCDの音源でこんな包み込むような空気が作れるのか!と。
個人的にタム回ししながらスティック同士をぶつけて木のアコースティックな音を出す十八番フレーズがパリッと気持ちよくて大好き。
彼のドラムは麻薬です。