おすすめのジャズ・フュージョンドラマーを動画とサンプル音源、アルバムを合わせて好みで紹介していきます。
昔のドラマーも勿論素晴らしいですが、現代のドラマーもテクニックや過去の様々な物を吸収し昇華させています。
こういったおすすめを聞くとなんだかんだで昔のドラマーが挙げられる事が多いので、現代に絞って選びました。
※ドラマーに限らず最近のアーティストは様々な音楽性を取り入れています。本人自体もジャンルの概念にこだわらないと主張する方も多いです。ジャンルの定義にこだわらず聞いて頂ければ幸い。
前半部分は有名な人で固めています。後半から落ち着いたり激しくなったりします。
- Antonio Sanchez
- Dave Weckl
- Steve Gadd
- Steve Smith
- Benny Greb
- Wolfgang Haffner
- JoJo Mayer
- Mark Guiliana
- おまけ
- おわり
Antonio Sanchez
公式 http://www.antoniosanchez.net/
Antonio Sanchez (@AntonioDrumsX) | Twitter
現代・古典系ジャズ問わずに個性を発揮する。枯れた音を出すドラマー
良いドラマーはどんな曲でも個性を発揮し、誰が叩いているか分かる叩き方をします。
サンチェスはそのあたりを手堅く抑え、テーマ部分だろうがソロ部分だろうが彼だと分かるドラムを叩く。上の動画でもシンプルなドラムキットで様々な"らしさ"のある音を出しています。
モーラー・グラッドストーン両方の奏法を混ぜて叩いているらしく、リムを効果的に使い乾いた音がする、熟成された木材の暖炉みたいなドラマー。我ながら例えが意味不明ですが熱くなったりするのでそんな感じ。
・おすすめアルバム
彼名義のアルバムは下記の個別記事で紹介しているので、今回はドラマーとしての参加作品から。
Pat Metheny-「KIN」
※個別記事のトップに張った音源です
このアルバムはパットが絡んでいるので普通のシンプルなジャズではなくキラキラした壮大なドラムを聞かせてくれるアルバム。
普段とは違うドラムセットにより別角度からのアプローチで楽曲を盛り上げており、華やかなドラム。個人アルバムとは違う楽しみ方ができます。
Antonio Sanchesの個別記事はこちら↓
Dave Weckl
https://twitter.com/davewecklmusic?lang=ja
多分ドラムの妖精かなんかだと思います
ドラマー?どうせいつものあいつ入ってるんだろ…?
当たり前である。と言い切れるぐらい予想しやすいドラマーを持ってきました。
何から何までハイクオリティ。テクニックもグルーブもジャンル、何でもだ!
逆に何が叩けないんですか?ってぐらい。ドラマー探してここに来た人はもはや説明も不要ですね。音の一音一音を顕微鏡で見ても狂ってないような綺麗さのドラミング。
プレイ的には都会的というか、勢いだけに任せずスマートに決めるタイプ。フィルもたくさん入っていて超気持ちいい。
・おすすめアルバム
「Multiplicity」
個人的にどのアルバムも似た感じなので何聞いてもいいと思います。
このアルバムはどんな人が聞いても納得できるアルバムだと思うのでセレクション。
技巧的な曲が多く決めのリズムで悦に入れる曲が多いですね。
Steve Gadd
公式 http://www.drstevegadd.com/
Steve Gadd (@DrSteveGadd) | Twitter
オールジャンルのドラマーから尊敬される神ドラマー
彼が叩くフレーズは凄くシンプルというか単純なフレーズなのになぜかかっこよくなる。テクニックも勿論凄いが最近のドラマーほど超絶技巧ではないのに、何かしらの観測できないパワーで他を圧倒する。
暖かい音でどの音楽ジャンルでもガッドが包み込んでいき、とてつもない安定感を生み出す。後を引くような若干ルーズなドラムに加えどの音も重厚で、タンッ!という一つの音だけみても沢山のアーティキュレーションが含まれているようなそんな魅力に溢れている。
ドラムの神様と言われても否定する材料が見当たらない。
もはや曲のカウントだけでかっこいいフレーズだと思わせるオンリーワンなドラマー。
・おすすめアルバム
「Live at Voce」
せっかくなのでリーダーアルバムを。
ちょっと落ち着いたアダルトな雰囲気が香るジャズに寄ったアルバム。
スタンダード曲を演奏しており、フュージョン系のガッドしか知らない人も新しい発見があるかも。
ブラシを使う楽曲やバラードでもあのガツンとくるサウンドがどこか混じっているようで面白い。
Steve Smith
公式 http://www.vitalinformation.com/
※気付いてたら1時間ぐらいループしてた動画
うまい。それしか言葉が見つからないオシャレなボウズドラマー
ロックバンドのジャーニーの元ドラマーだった。
嘘だとは思いますが、ジャーニー脱退の理由は「ドラムがうますぎて解雇された」とかいう逸話が流される程ドラムがうまい。
Dave Weckl並にドラムを支配してる感じが半端なく、叩いてる姿がほんと物凄くかっこいい。HHやシンバル等の音が気持ちよく跳ね返り、パラディドルが死ぬほど爽快。
スイーっと流れるように、曲の中を漂うドラム捌きは圧巻。
動画では違いますが、彼のレギュラーグリップの動きはめっちゃおしゃれ。
服装もイケてるオヤジ感があり、ストールを巻いたりもする。
・おすすめアルバム
「Vital Tech Tones」
カオスな三人技巧組がいろいろ演奏しました。
フュージョン系の組み合わせが非常にドラムにマッチするアルバム。聞きたい楽器が3つもあるので聞くのが大変ですが、お祭りみたいで素敵。
しかしジャケットはもう少しなんとかならなかったのか。
Benny Greb
Benny Greb(@bennygreb)さん | Twitter
するっと入り込んでくるストレートなグルーブ。賢そうなドラマー
正直どう表現すればいいのかわからない。プレイングにとても知性を感じるのに、ラフにリズムが紡がれていく。なんかルーディメンツが賢そう。
アクセントに無駄がないというか、気持ちいいところでしっかり突っ込んでくるんです。実直で気の利いた差し入れみたいな。
技巧的なドラマーは外から見てあっと言わせる展開で楽しませてくれますが、彼のドラムを聞いていると「ああこういうグルーブを伝えたいんだな」というのがドラムを通して体に入り込んできます。そうか、そういう事か!みたいな。
・おすすめアルバム
「Moving Parts」
ジャズっぽいのからファンク、色々入っているアルバム。
もれなく全曲ぐいんぐいんでノリノリです。激しい曲は勿論ですが、落ち着いたゆっくり目のバラードでもなんだかスネアにグルーブを感じます。その音を一回叩いただけでガツンと入ってくるドラマーなので聞いていて楽しいアルバム。
ファンク色が濃いブラックな感じのするアルバムをお求めの方におすすめします。
Wolfgang Haffner
公式? https://wolfganghaffner.wordpress.com/
https://www.facebook.com/wolfganghaffnerdrums/
洗練された、綺麗な白さのあるヨーロッパドラマー
これまでに挙げた他のドラマー程の超絶技巧はないし、強烈な個性あるグルーブがあるわけでもない。しかしそんなものいらないくらい惹きつけられるのがWolfgang Haffner。
まず曲がマジでいい。ややエレクトロよりの曲が多く、ドラムを目立たせるという気配がまるでない。あくまで一定にリズムを刻み、派手にすることなくしっとり曲を進めていく。彼の凄い所は曲の雰囲気を最大限まで引き出すことであると思います。
ヨーロッパ系ジャズの透明感を保持しつつそれぞれの楽器を引き立たせるのがうまい。ドラムだけで世界を作るのではなく、他の全てを使って1つのものとして完成させるのが素晴らしいドラマーではないかなと思っています。
・おすすめアルバム
「 Acoustic Shapes 」
このアルバムはWolfgang Haffnerが出した過去作をアコースティック編成でセルフカバーしたものです。「Shapes」もエレクトロよりの曲でしたが、まるで違和感ないヨーロッパジャズになっています。聞きやすいのにイージーリスニングにならない。
ドラマーとしての彼を聞くならこのアルバムが最適です。
JoJo Mayer
https://twitter.com/jojomayernerve?lang=ja
人力ドラムンベースと評される人間辞めましたドラマー
JoJo Mayerさん、それ機械が叩く高速フレーズですよ?
JoJo Mayerさん、人の手はそんなに早く動かないですよ?
音楽は完全にドラムンベース。
しかし彼のルーツはジャズで、バディ・リッチもかなり研究したとか。シングルストロークとかもかなり突き詰めた様子。
そのかいあってか4分音符=200ぐらいのテンポを16分で叩けるんです。片手で。
音色は全体的にタイトでジャンル的にも区切りをはっきりさせるドラミング傾向。
機械並みの速さなのにテクニックだけでなく、グルーブも出るやばいドラマー。
音を入れるセンスも抜群で、普通に叩いても個性あるドラム。
人智を超えたぶっ飛んだ速さのドラムを堪能できます。超テクニック好きな方へ。
・おすすめアルバム
「Prohibited Beats」
完全なドラムンベースアルバム。ジャズのジャの字もありません。
ジャングル系のエレクトロを聞き慣れていない方は少し戸惑うでしょうが、ドラムがとにかく楽しいのでとりあえずドラムだけ聞いてみましょう。
疾走感のあるドラムに無条件でテンションがあがっていくこと間違い無し。
Mark Guiliana
今までに聞いたことのない、前につんのめりそうになる驚きのあるドラマー
完全に新スタイルのドラマーです。私の知識不足なだけかもしれませんが、ここまで他のドラマーから離れたソロを叩くドラマーは聞いたことがない。
普通のノリじゃない。彼だけ別のリズム空間に生きているような気がします。
あえてアクセントを均一にして展開の想像をさせなかったり、思わぬところにスネアが入ったりと予想外なドラムが怒涛のラッシュで聴者を惑わせる。
真似もできないような独特な世界観で、どこか無機質でいてところどころ人間らしらが見え隠れするのが持ち味。エレクトロに合う。
・おすすめアルバム
「Taming the Dragon」
メルドーとの合作デュオアルバム。電子音全開であの不思議なドラムを調整していく。
どの曲もエレクトロサウンドがドラムとセットで、Mark Guilianaのドラムと相性がいいのがよく分かるアルバム。
ただいつもエレクトロ聞いてる人には少し地味に感じるかもしれません。
おまけ
紹介したドラマーの何人かが共演している超豪華動画
左から
Jojo Mayer(の独走感)・Benny Greb(の音探し感)・Dave Weckl(の何でも対応感)
・Steve Smith(のリーダー感)・Mike Mangini(のいい人感)
こうやって並べて見ると叩き方が十人十色でとても面白いですね。
フレーズから音色、やる事まで個性があります。
そして凄く楽しそう。
おわり
ジャズドラムと言えばバディ・リッチ!
とおすすめされていきなりレジェンドを聞くより、まずは現代で活躍している人を気に入って、そのルーツを探っていく中で伝説のドラマーに触れていくのが彼らの素晴らしさをより感じられるのではないかなと思っています。